2. それぞれの地域における自生植物の活用
欧米の美しい街をみると、街の随所にその地域の自生植物を活用しているのを見かけます。英国では帰化植物がメインになっていますが、特にニュージーランドのオークランド市街ではニューサイランをはじめアステリア、カレックス、ホクシアなど多くの自生植物およびその園芸品種で大半の景観を構成しています。また、ガーデンショーを通じて地域の植物を紹介することにより一般家庭の庭にも身近に演出できるように啓発しています。その地域の自生植物は、当然地域の気候、土壌環境に適した植物たちですから、新たに植栽しても他の植物に比べ活着しやすく適応する確率が高く、後の健全育成にも影響します。基本的に植物の園芸品種は原種の植物よりもどうしても弱い傾向にあります。したがって単独に植えるよりもその植物の原種の植物と一緒に植えることをお勧めします。
日本の植生は高等植物だけでも約6,000種以上あり、多様な生物相がみられ植生(植物群落)が形成されている。それぞれの地域によって基本的には気温と降水量に対応して複雑な模様をみせている。大枠の植生分布をふまえた上で、地域の自然や植生を普段からよく観察しておくとよいでしょう。植生図は、現在環境省の「第6回・第7回植生調査」で公開されています。各都道府県単位で詳細に記されているので、チェックしておくとよいでしょう。
新興住宅地の大部分は、山や台地を削ったりして土地を造り造成しています。このような場所に植栽する場合、山の真土に植えるようなもので有機物の堆積は全くといっていいほどありません。そのエリアの潜在自然植生を考えながら、しっかりと土壌改善しておく必要があります。
また近隣自然エリアの植物ガイドブックなどがあれば、普段から自然観察をしておくと、潜在自然植生の遷移が徐々に分かってきます。植物遷移と庭のメンテナンスの関係は、密接な関係で、常に一緒に考えていくべきことです。
遷移を意識した植栽
(兵庫県三田市 オープンガーデン)
1963年兵庫県生まれ。ガーデニングによる花と緑があふれるまちづくりを提唱し指導している。園芸肥料メーカー勤務を通し本格的に植物との関わりを持つ。90年に独立。ガーデニングコンサルタント会社・環境文化センターを設立し、現在に至る。家庭菜園を始める・続けるためのベストガイド『菜園生活パーフェクトブック』の監修・著。