1. くらしのガーデニングにおけるキッチンガーデンの意義
一番人気のミニトマトは品種も多く
収穫が長く楽しめる(岡山県 瀬戸内市A邸)
ここ数年、園芸業界において野菜苗の需要が急激に伸びつつあります。特に注目したいのが、都市部近郊の一般住宅での家庭菜園ブームです。マンションのベランダを含め、くらしのガーデニングにキッチンガーデンを取り入れている家庭が増えています。野菜類は草花を育てる楽しみと異なり、何よりも収穫の喜びがあります。また、この喜びは家族や仲間との共有になります。子どもたちの情操教育、家庭での園芸療法にも大きな効果があることは認められてきています。
これからのくらし空間の創造においては、キッチンガーデンのゾーンは必要不可欠の要素といっても過言ではありません。食の安全性、省エネ、防災などの社会問題が毎日のようにマスメディアで取り上げられているなかで、造園的にもキッチンガーデンの提案は無視できません。
農業の一環としての家庭菜園ではなく、ガーデンとしての家庭菜園、つまり「キッチンガーデン」が求められています。収穫目的だけでなく景観的にも素敵な空間が必要です。育てるための栽培技術やテクニックだけでなく、限られたスペースでの多くの工夫が必要となるのです。野菜苗の近年の傾向としては、従来のスーパーなどで小売販売されている品種よりも、ミニチュア(小型)の品種が人気をよんできています。また、夏場の節電対策で話題になった「緑のカーテン」になるゴーヤやキュウリなどのつる性の野菜類もくらしのガーデニングには欠かせません。これからガーデニングを始められる方々で、野菜づくりからという方も少なくありません。造園的観点からもキッチンガーデンは、重要なコンテンツになることは間違いありません。
藤岡 成介(ふじおか せいすけ)
1963年兵庫県生まれ。ガーデニングによる花と緑があふれるまちづくりを提唱し指導している。園芸肥料メーカー勤務を通し本格的に植物との関わりを持つ。90年に独立。ガーデニングコンサルタント会社・環境文化センターを設立し、現在に至る。家庭菜園を始める・続けるためのベストガイド『菜園生活パーフェクトブック』の監修・著。
1963年兵庫県生まれ。ガーデニングによる花と緑があふれるまちづくりを提唱し指導している。園芸肥料メーカー勤務を通し本格的に植物との関わりを持つ。90年に独立。ガーデニングコンサルタント会社・環境文化センターを設立し、現在に至る。家庭菜園を始める・続けるためのベストガイド『菜園生活パーフェクトブック』の監修・著。