今回は史上最大の万博に沸き、中国で最も活気にあふれている経済都市、上海市のリフォームマーケットについて。英国B&Qが1999年に中国進出を果たしたホームセンターは、現在、先進的なリモデラー“百安居”として経済力を身に付けた多くの上海人を捉えている。

地域にマッチングするデザイン力で
エコロジーの潮流に乗る

　上海市は、超高層ビルが林立する東部と、1800年代の英仏外国人居留地（租界）の面影を残す西部の旧市街地が見事に融合した、実に魅力的な街である。

　B&Q百安居は、この上海の景観にマッチした旬なリモデルで業績を伸ばしている。最大の強みは中国インテリア・デザイン・コンペで培った高いデザイン性と、それを伝える徹底したデザイナーの教育システムである。

　B&Qデコレーションセンターでは長期的なデザイナーの職業訓練を実施。2006年からは国立デザイナーの評価テストで実力向上を図っている。また、2007年初頭からは、改装されたデザインセンターで中国手描きの技術、トレンド・カラー等、デザイナーとしての力量を高める教育を実施。さらに、強力なチームを編成し、独自のカリキュラム開発で、中国文化、室内空間の装飾、建築構造、伝統的な居住スタイルを加味したユニークなデザインを創出、提供している。

　無論、より良い暮らしの基本である“健康と安全”は英国B&Q仕込みの筋金入りである。百安居は2006年にISO900Iを取得し、環境に優しい商品の取り扱い、品質を保証している。

　このように地域の景観にマッチしたデザインと、環境という世界のトレンドに合致するリモデルを推進していることが、百安居最大の強みである。

世界のトレンドの中に中国らしさを表現する

　2010年現在、百安居のホームソリューション拠点は中国で60店舗。デザイナーは400人余りである。そのうち上海は中国不動産市場の発展と新築需要拡大に伴い、最多の12店舗が設計、資材の配送、施工を請け負っている。設計デザインは内容に応じて3タイプある。一般的な設計、資材や装飾品の配送に対応する標準設計タイプ、現場レベルまで実施する上級レベル設計、百安居が誇るシェフ・デザイナーチームが顧客の所有する家具やインテリア・ニーズに合わせたハイレベルのデザイン設計、施工チェックの全行程に立ち会うVIP設計の3つである。

　すでに、フォーシーズンホテルのサロン、上海ゴールデングリーンワールド、上海蟻浴ニュータウンの内装を手掛けており、その洗練されたデザイン性は、国際的に定評が高い。価格は、最もリーズナブルな材工費込みの請負金額が130hm²（3LDK2浴室）で1万5880元程。一方、VIP設計・施工は350m²で、設計費5万元、施工費130万元程であり、一般顧客から商業スペースまで、実に幅広い顧客ニーズに応える提案力とデザイン性を併せ持つ。

　右上の写真は百安居が2010年に提案した世界のインテリアデザインを紹介したものである。1つは、すっきりした材質の中にインテリアの造形の面白さを取り入れた写真1.コンテンポラリー・スタイル。写真2.はシンプルな壁と床に対比させる形でオレンジや赤の活気がみなぎる色彩感覚のインテリアを置いたバイブラント・スタイル、写真3.は色や材質、デザイン文様まで、全て自然をテーマにまとめたナチュレ・スタイル、写真4.は中国の古典的なデザイン様式を融合させたヘリテージ・スタイルである。

　また、写真5.は中国古来から伝わる風水を取り入れた完璧な室内レイアウト提案である。風水とは、より良い暮らしを実現する環境整備学である。

　世界のトレンドの中に、ほど良く中国らしさを融合させることが百安居のリモデルデザインの中核になっている。