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外構事例
【庭実例】和と洋、二つの庭が共演する住まい──眺めて癒やし、出て楽しむ贅沢空間
緑の舞台が広がる、小さな庭の大きな奥行き 玄関を中央に、左右に和の庭と洋の庭があるM邸。和の庭は、奥の塀に向かって高くなる法面にしているため、実際は6畳程度ですが、庭はよりゆったりと広く感じられます。この法面はカモシゴケやスナゴケなどの複数のコケ類で青々と覆われ、足元から立ち上がる木々や景石を引き立てる柔らかな舞台となっています。 樹木は3種。左奥に株立ちのアオダモ、その手前にコハウチワカエデ‘関の華厳’、右に枝垂れモミジ。これらを不等辺三角形に配置し、なおかつ樹高に差をつけることで、限られた空間の中にも奥行きと動きが生まれ、目に心地よい自然な景観が広がります。 コハウチワカエデ‘関の華厳’。葉の形に特徴がある園芸品種で、従来のコハウチワカエデよりも雄大な樹形をしている。 高木、中木、低木を不等辺三角形に配植する方法は、庭園で用いられる伝統的な「真・対・添え」の構成で、視線を奥へと誘導し、庭全体に奥行きと豊な表情を与えてくれます。この美しい形を維持するために、植栽の定期的な剪定は欠かせません。 庭にアートを宿す六方石と、新潟の名石・八海石 和庭の骨格を形づくるもう一つの要素が石。この庭では上部が磨き上げられた六方石が、自然が彫り出した彫刻のような存在感を放ち、庭の個性を決定づけています。六方石とは、溶岩が冷えて収縮する際に形成される、5~6角形の割れ目を持つ柱状の火山岩で、硬質で規則的な形状が特徴です。その美しい造形は庭園において、門柱や景石、縁石、飛び石など幅広く活用されてきました。 鏡面に葉影を写す六方石。夜間はここに光が反射するようにライティングもセットされている。 モミジや苔の柔らかな表情の中で、直線的なフォルムが際立つ六方石。その磨かれた石面には季節ごとの枝葉が映り込み、庭に格調と四季の趣を添え、アートのような景観をつくり出しています。 また、この庭では八海石も用いられています。八海石とは新潟県魚沼市を流れる魚野川の下流で採れる硬質な自然石で、青みや緑がかった濃い黒色が特徴です。苔や植栽の鮮やかな緑と対比して、庭に深い落ち着きと重厚感を生み出します。地元ならではの石を取り入れることで、庭は土地の風土とより強く結びつき、新潟らしい景観を体現しています。 延べ段から水栓まで、石が支える機能美 玄関アプローチから見た和の庭。 そして、アプローチにはサビ御影石と和良石のゴロタを組み合わせた延べ段を設け、自然石のボーダーが足元から庭全体を柔らかく引き締めています。 さらに機能面にも石を生かした工夫があります。例えば、集水桝はピンコロ石で囲ったコの字型の中に景石を重ねて隠し、点検口であることを感じさせません。 影石の下には集水枡のフタ。 また、庭の角には住宅の石張り調の立水栓と水鉢を設え、実用性を損なうことなく庭の雰囲気に自然に溶け込ませています。生活に必要な設備さえも「石の造形」として表現されている点に、この和庭の完成度の高さが感じられます。 延べ段の色に合わせたサビ色の立水栓。 塀で庭は見違える。煤竹風の演出 庭の背景を形づくるもう一つの大切な要素が塀の壁面です。一見すると、この庭は竹の遮蔽垣に囲まれているように見えますが、じつは煤竹風の板張り。既存のブロック塀を活かし、庭の背景となる内側にのみ表面に煤竹風の板(エバーアートボード建仁寺すす竹・タカショー)を張り付けています。 既存ブロック塀を生かして内側のみ板張りを施工。 もし背景がブロック塀のままであれば無機質で味気ない印象になってしまいますが、内側を煤竹風の板張りにすることで庭全体が和で統一され、緑が一段と映えます。仮にブロック塀を壊して本物の遮蔽垣を一から組むには高度な技術と時間、そして予算が必要になりますが、アートボードを用いることで工期やコストを抑えつつ、庭に十分な品格をもたらすことに成功しています。 アオダモの後ろにある電柱も、すだれを巻いて目立たないように工夫。 塀は庭にとって単なる境界ではなく、景観の背景を支える重要な要素。ここでも「実用と美観の両立」が巧みに図られているのです。 外に出て楽しむ、もうひとつの居間 次に「洋の庭」を見てみましょう。和の庭とほぼ同じ広さですが、和の庭が室内からの眺めを主眼にしているのに対し、洋の庭は外に出て楽しむ「アウトドアリビング」として設計されています。そのため床は歩きやすいピンコロ石の敷き詰めとし、腰掛けにもなる石積みオブジェを備えるなど、外で過ごす時間を心地よくする工夫が施されています。 扇形の床と石積みが演出するモダン空間 黒のピンコロ石は扇形に敷き詰めることで、広がりを演出しつつ、リズム感とモダンな雰囲気も生み出しています。高さを抑えた2組の石の小端積みは、オブジェのように庭のアクセントとなりながら、腰掛けとしても使える実用性を兼ね備えています。 ピンコロの曲線に沿ってモミジやコケを配し、直線的な石積みとの対比が美しく、和と洋が響き合う折衷的な空間になっています。 住宅窓際の足元は、沓脱石のみでなく、黒いピンコロの際をゴロタや植栽で自然風にデザイン。 ダークカラーの背景が引き立てる緑と高級感 「洋の庭」でも背景は既存ブロックを生かしながら、板張りを用いることでビジュアルの質を高めています。この庭は思い切ってマットなダークブラウンの塀に。濃い背景色が植栽や苔の緑を一層引き立て、庭全体に高級感とモダンな印象をもたらしています。単なる囲いを超えて、庭の舞台装置として大きな役割を果たしています(塀仕上げ:エバーアートボード ラスティコッパー:タカショー)。 緑の額縁に収まる星空 「洋の庭」は奥様の希望で「星を眺められる庭」として設計されました。庭の四隅に植栽を配置して、緑の額縁の中に夜空を切り取る工夫がされています。昼は青空が、夜は星々がその額縁の中に収まり、まるで一枚の風景画のよう。足元照明も配され、安心感とともに非日常のひとときを楽しめる空間です。 二つの庭が奏でる、異なる魅力 M邸の庭は、玄関を中心に左右でまったく異なる世界が広がります。室内からの眺めを主とした和の庭は、苔むした法面と石の存在感が生み出す静謐な空間。一方、戸外で過ごすことを目的にした洋の庭は、モダンな石敷きとベンチ、そして星空を楽しむ仕掛けが、アウトドアリビングとしての開放感を与えてくれます。 二つの庭は、用途も表情も異なりながら、共通して「石・緑・背景」の調和によって完成度を高めています。和と洋、二つの異なる魅力がひとつの住宅に同居するこの庭は、庭づくりの可能性を広げ、日常に豊かな変化をもたらす好例といえるでしょう。 設計施工:帝樹園 庭正 長橋正宇
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外構事例
【DIYガーデン実例】アウトドア派必見! 東京都内のこだわりDIYガーデンをご案内
機能満載のDIYテーブルでアウトドアライフが楽しめる空間に 今回ご紹介する中庭は、間口二間(約360cm)、奥行き二間程度の正方形の庭。三方を壁に囲まれたアルコーブ(壁面の一部をくぼませた空間)状の中庭は、残る1辺が隣家に面しているため、DIYで作った横板張りのデザインウォールを取り付けて目隠しにすることで、敷地外の背景や視線が気にならない、落ち着いて安らげる空間を作っています。 移動も簡単なキャスター付きDIYテーブル。 テーブルの天板をたたむと収納スペースが。 ガーデンでパッと目を引くのは、ストライプに塗装された天板が印象的なテーブルです。木肌色とこげ茶色に仕上げられたこちらは、キャリーワゴンに設置したDIYテーブル。天板を折りたたむと、内部にはアウトドアグッズが収納されており機能満載。キャスター付きなので移動も簡単! ダストボックスの蓋は100円ショップの「すのこ板」で制作。 幅広の板と細い板を交互に並べたおしゃれなデザイン。 テーブルには、あると何かと便利なダストボックスも備え付けられています。このダストボックスもDIYで一工夫。横板張りの蓋を取り付けて、テーブルと調和させつつすっきりとした見た目に仕上げています。ご夫婦をモデルにウサギとクマをデザインしたキャラクターシールがアクセント。 奥様デザインの夫婦キャラクターシール。 LEDテープをジョイントラックのフレームに巻いて、夕食などのグランピングも楽しめそう。 このキャリーワゴン内蔵のテーブルは、DIYのジョイントラックが取り付け可能。ラックにはスプーンやカップなどをかけられるようになっています。LEDテープを巻き付ければ、手軽にライトアップできて庭キャンも楽しめそう!! 飲み物用としてはもちろん、火にかけて料理も作れる多機能なシェラカップ。 通常、食事や飲み物にはお皿やコップ、鍋などいくつかの食器や調理器具が必要ですが、そんなちょっとした手間を解決してくれるのが、このシェラカップ(持ち手付きの金属製カップ)。料理や飲み物を入れてお皿としてもコップとしても使え、さらに直接火にかけられるので調理器具としても役立つ万能ギア。握り方は波型の持ち手に合わせ、人差し指と薬指は前で、中指は手前にして握ると、料理の量が多くてもしっかり握れて安定感抜群です。アウトドアライフを充実させてくれる必携アイテムですが、自宅で使ってもキャンプ気分を味わえること間違いなし! DIYのデザインフェンスで隣家との目隠しを 隣家側はラティスフェンスに。フェンスの一部には、隣家の給湯器からの熱を防ぐ断熱材が仕込まれている。 花鉢を飾るための飾り棚。花に似合う愛らしい雰囲気の一角。 隣家との目隠しには、DIYでよく使われる1×4材(断面のサイズが19×89mmの木材)を使って手作りした目隠しフェンスを設置。DIYならではの雰囲気がある横板張りのフェンスは、花鉢を飾る棚を設け、より暮らしの中で使いやすくデザインしています。この棚は造作が難しい波型の板を使ったこだわりのデザイン。奥様のお気に入りの可愛らしいコーナーです。 文字にはアイアンペイントを施し、レトロ感を表現。 飾り棚の上に躍る「WEL★COME」の文字は、塗るだけで金属のような質感が表現できるアイアンペイントで着彩。スポンジで叩いて塗ることで、経年変化のような程よい色ムラを演出しています。細部までこだわりがスゴイ!! くつろぎやすいガーデンファニチャー。 ガーデンには、身体を預けてくつろげるガーデンチェアと、足を乗せられて小テーブルにもなるオットマンも設えられています。こちらはDIYではありませんが、よく吟味されたイスは、座ってみるとなんとも心地よい座り具合で、オットマンに足を乗せればリラックスできる快適空間に。このオットマンは、本来は小さなイスですが、上面がしっかりしているので、ローテーブルのように小物やカップを置くにも便利です。 アウトドア&DIYスペースとなる薪置き場 薪置き場の上にもテーブルを設置。 中庭の一角にはテーブルを取り付けた薪置き場が。テーブルには照明と、湯沸かし器がセットされたバイオストーブが置いてあります。このバイオストーブは、手元を照らせるライト付きで、燃料は小枝でもOK、なおかつ発電もできる優れモノ! キャンプにも非常時の備えにも使えると入手したそうです。薪置き場のテーブルは、普段はDIYの作業台。テーブルの後ろには、DIYで使うスタイロフォームが目に付かないよう収納されていました。 手動折り畳みのシェードもDIYで 手動で開け閉めができるシェード。 ガーデンの上には、日差しやちょっとした風雨を遮るシェードが取り付けられています。なんと、このシェードもDIY作品の1つ。DIYで作られた手動シェードは初めて見ましたが、鉄パイプの表面を合成樹脂でコーティングしたイレクターパイプを使った2段のフレームで構成されており、強度抜群で、シェードの波型によって雨水が溜まることなく流せる工夫がされています。じつは、この庭の施主様は建築設計事務所の所長さんなのですが、知識と技術を活かしたつくりは流石! 樹木マークの飾り付き。 シェードシートの角には樹木の飾りがついていました。ワンポイントのデコレーションが可愛らしいですね。 ペットのためのDIY「ニャ~のトイレハウス」 足跡マークが可愛い愛猫のトイレハウス。 扉を開けるとトイレが。普段は見せない収納。 施主様のご厚意で、住宅のインテリアも見せていただくことに。お部屋の中にもアイデアとデザインが光るDIY作品が目白押しです。リビングに設置されていた愛猫のトイレハウスは、一見キャビネットのように見えますが、こちらもDIYで作ったもの。奥の扉を開けるとトイレが据え付けられていて、写真左側の出入り口からトイレに向かうまでの通路は猫砂落としになっていました。デザインの可愛いアクセントである足跡マークは穴抜きされていて、ハウスの中から室内を眺められるようになっています。 愛猫のレオナとミーナ。 DIYデコレーションでトイレも素敵な空間に 猫たちが遊ぶステッカーが可愛い。 よく見ると、カーテンレールにも猫モチーフの飾りが。 トイレの収納棚は、下部はレースのカーテンを掛けたトイレットペーパー置き場、上部はプリザーブドフラワーとランプシェードの飾り棚になっていて、壁には猫のシルエットのステッカーが貼られています。トイレットペーパー置き場は、たっぷり24ロールが収納でき、非常時用のストックスペースも兼ねています。カーテンにも猫の飾りがついています。 100円ショップの額縁2枚で作ったコンセントケース。なんと取手も100円ショップのレジンで作った肉球モチーフです。 ここで驚いたのは、壁に据え付けられた小さな額縁。じつは、この額縁は100円ショップで販売されている商品を使って手作りしたコンセントケースなのです! 額縁の絵にも、黒猫や白猫たちが登場。隅々まで猫愛にあふれた“ニャー三昧”の素敵な空間ですね。 落ち着きとやすらぎの夜景の庭 日が落ち始めると、中庭もナイトシーンの装いに。シェードとフェンスに取り付けられた、少しレトロな雰囲気の照明に照らされて、リラックスタイムにぴったりの程よい明るさです。横板張りの目隠しフェンスに、植栽と鉢物のグリーンが、ナチュラルに馴染みます。 三方を壁に、そして隣家の玄関からの視線を遮る目隠しフェンスによって四方が囲まれた中庭は、落ち着きと安らぎが生まれます。さらに、できるだけガーデンテーブルに収納できる部分を作るなどの工夫をすることで、ごたごたしないすっきりしたデザインのガーデンになりました。 車もDIYリフォームでアウトドア仕様に! ブラウンのルノー カングーをDIYでリフォーム。 中庭ガーデンに登場するアウトドアグッズを見ても分かるとおり、施主様はアウトドア派。よくキャンプに出掛けるだけでなく、車の内部もDIYでライフスタイルに合わせたアウトドア仕様にリフォームしています。 上部は愛猫のゲージ、下部は収納スペースに。 キャンプギア用モールシステム。 バックボードにも猫デザインのシートが。 車内にはお出かけペットゲージスペースが設けられています。この車のリアゲートは両開きドアで、ここにキャンプギアを格納するためのモールシステムと、猫デザインの可愛らしいシート張りバックボードをDIYで取り付けました。モールシステムとは、等間隔で縫いつけられた丈夫なベルトにギアを取り付けるシステムのことで、さまざまな形のアイテムを自由に収納することができます。 収納スペースに隠された引き出し式のテーブルとカップホルダー。補強支柱が付いているので、重量物もOK! テーブルは流し台としても活用可能。 リアスペースの下部には、引き出し式のテーブルと物入が作られています。このスペースは、キャンプなどの際には水栓・シンク・排水用タンクのユニットが設置できるキッチン流し台セットにも変身。じつはこのユニットも100円ショップアイテムで手作り。収納ボックスを2段重ね、下段が排水槽となる仕組みです。 自分のスタイルにぴったり合わせられるDIYリフォームならではの、アウトドアアクティビティーに使いやすいシステムですね。 折り畳みテーブルの下にはキッチン道具収納ボックスを格納。後部座席には芝畳マットを敷いてくつろぎ空間に。 センターコンソールにセットしたDIYドリンクホルダーは取り出しても使用可能。使用時以外は蓋もできる。 後部座席には折り畳みテーブル、運転席脇にはガムやドリンク置き場となるホルダーがあるのですが、これもDIY作品。後部座席と助手席部分にはスタイロフォームを人工芝で覆った畳が敷かれ、身体を伸ばして休めるベッド代わりになります。なんと、折り畳みテーブルもベッドに変化するそうです! DIYで作ったギミック満載のこの車は、ご夫婦2人と猫たちの車中泊や避難用にと作り上げたそう。実際に、外気温度がマイナス1℃の環境での車中泊も体験済みだといいます。 人工芝仕上げの畳をベッドに。畳は友人の畳屋さんの製品。 こだわりを詰め込んだDIYで、見ているだけでもワクワクする素敵なガーデンや車が出来上がります。「意外に狭いところにも、こんな収納ができてしまうとは!」という驚きがいっぱいのDIYアイデアの数々。キャンプ道具の収納に困っている方、DIY好きの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね! DIYデザイン&造作:小川秀二(株式会社エニシ建築設計事務所・東京都杉並区阿佐谷南)
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外構事例
【外構デザイン実例】「ブラック×天然木」で魅せる庭づくり! 棚付きウォールの個性派ガーデンを拝見
住宅の顔・ファサードでひときわ目立つ波型鉄板の塀 住宅の前に立つと、まず目に飛び込んでくるのが、縦のラインが際立つ真っ黒な波型鉄板の塀です。基礎がグレー、塀はブラックの波型鉄板の素材を使った塀はインパクト抜群! 波型鉄板は、昭和の前半から半ば頃によく使われ、一般的には住宅よりも小屋や倉庫などに利用された建築資材です。そんな波型鉄板をあえてチョイスし、ブラックカラーにすることで、レトロ感を演出しつつもシックにまとめています。 ブラックの波型鉄板は、レトロなイメージを生かしつつモダンなデザインにもよく似合います。 レトロ感のある表札・ライト・ポストのカラーもブラックに揃えて。表札の「ブラック×木」のデザインは、庭全体に共通のコンセプト。 表札を照らす照明やインターホン付きの表札もレトロ感たっぷり。こうした小物も素材までこだわってコンセプトに合わせるのが、センスアップのポイントです。照明の傘やポストはブラック、表札はブラックに木質の額縁と、「ブラック×木」のカラーコーディネートは、これからご紹介するガーデンにも度々登場する、庭全体に共通するコンセプト。これで全体のまとまりが生まれますね。 自然木の天井がオシャレなアルコーブ ナチュラルな木の質感が落ち着くアルコーブ。 玄関前、右手にある扉が、塀に囲まれた庭へと続いています。その扉を開くと、見事な木質の庇天井が印象的なアルコーブスペースがありました。アルコーブとは、壁面の一部をくぼませた空間のこと。この住宅では、波型鉄板の塀と住宅壁面の間にアルコーブスペースが設けられています。 天井の格子により採光もバッチリ。日差しの強さも調節可能。 ここのアルコーブの庇天井は、全面を覆うのではなく、部屋の前は光が入る横格子状にしてあるのがユニーク。格子から差し込む光により、アルコーブ周辺のスペースが明るくなるように工夫されています。格子の“せい”(高さ)の具合で日差しの強弱を調整することもでき、低ければ日差しは強く、髙ければ日差しは弱くなります。裸電球を天井の端に取り付けてあるので、楽しい夜の演出もできますね。 ガーデンは「ブラック×天然木」の構造物が見どころ! 真っ先に目を引くのは、庭中央を横切る大きな構造物。 いよいよ、ブラック波型鉄板の塀で囲まれた中の庭を拝見! 3mもの高さの塀の内側は、柱と横板によってスタイリッシュかつ実用的な棚に。そして庭中央は、天然木の支柱に支えられた、中空に浮かぶフェンスのような横板貼りの構造物が横切ります。この“空中フェンス”は、ガーデンデザインの主役となるだけでなく、隣家の2階からの視線カットという機能的な役割もあります。 ユニーク&スタイリッシュな植物をディスプレイ 多肉植物など、ドライガーデンを好む植物が並ぶ棚。 塀の内側に設けられた棚は、お気に入りの植物のディスプレイスペース。横板の桟を同じ高さの位置に揃えて棚を設け、余裕を持って植物鉢を並べることで、モダンで整った印象を与える、植物を組み込んだ素敵なデザインです。 シャープな細長い葉、多肉質の丸い葉など、さまざまな形状の植物が並びます。植物に合わせた鉢選びも楽しみの一つ。 棚に並ぶ鉢は、多肉植物などドライガーデン向きの植物がほとんど。水やりなどのメンテナンスが簡単で扱いやすく、何よりフォルムの面白さが魅力。細長い葉や球形のようなものなど、カッコよくユニークな形に魅了されたコアなファンも多く、人気も高まっています。こうしたサボテンやアガベ、多肉植物、セダム類(メキシコマンネングサ他)などは、乾燥に強く自然の雨水のみで育つので、メンテナンスがラクです。皆さんも、ホームセンターやガーデンセンターに出向き、育てやすい植物を研究してみるのも楽しいですよ。鉢のデザインもさまざまあり、植物に合わせてコーディネートするのも楽しいひとときです。 足下に広がる青々とした芝生も、じつはメンテナンス不要の人工芝。 タイルテラスのガーデンファニチャーもシンプルデザインに ブラックの脚に、木質の天板やひじ掛けを持つガーデンファニチャーで統一感を。 住宅横にはタイルテラスがあり、くつろぎの時間を過ごせるスペースに。テラスに置かれたガーデンファニチャーは、ガーデンのほかの部分と同様に「ブラック×木」のコンビネーションで統一しています。スタイリッシュなブラックの素材に、温かみのある木製の天板やひじ掛けを持つテーブルや椅子を選ぶことで、庭全体のトータルコーディネートを感じます。 テラスに敷かれたベージュ色の60cm角タイルは、絶妙な色ムラのある色調が、ザラザラとした質感の素材と好相性。庭や住宅など全体ともよく調和します。ザラツキのある床なら、雨降りや掃除の水でタイルが濡れても滑りにくいので、いつでも安心して利用できます。愛嬌たっぷりで可愛いペットのトイプードルも、このスペースがお気に入りの様子。 ここがポイント! シックなデザインのテクニック モノトーンで構成されたデザインには、自然素材が意外とフィット。組み合わせると、落ちついたイメージでまとまります。 今回ご紹介した住宅事例では、ブラックをベースに、支柱や桟、棚、梁などを木の素材にしています。そして、ブラックの塀はフラットな面でなく、波型にしているところが重要なポイント。フラットな壁面は単調な仕上がりになりやすく、波型にすることで変化を生んでいます。また、今回のケースとは対照的に、塀をコンクリート色やホワイトにすれば、明るいすっきりしたイメージになりますよ。 このように、カラーコーディネートはお好み次第。素材の質感でもイメージがガラリと変わります。 ご自宅で趣味を生かした庭づくりを研究して楽しんでみてはいかがでしょうか? 設計施工:ヘブンズガーデン 柿崎浩司
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外構事例
【リフォーム実例】気分も一新! ルーフバルコニーをシンプルモダンにリフォーム
ガレージ2階のルーフバルコニーをリフォーム ガレージの上が、今回ご紹介するルーフバルコニー。 今回は、神奈川県横浜市にある住宅のガーデンリフォーム実例をご紹介します。 舞台は、海辺のリゾート地にほど近い住宅街にある庭。この庭は、ガレージの2階にあるルーフバルコニーです。ルーフバルコニーとは、下の階の屋上に設けられたバルコニーのこと。リフォーム前は、細い水平ラインのフェンスで囲われたナチュラルイメージのバルコニーでした。 それでは、リフォームにより一新したルーフバルコニーをご案内しましょう。 エントランスを通ってルーフバルコニーへ 門かぶりの松の足元は玉砂利が敷かれたミニ和風ガーデン。 まずは門かぶりの松のある門扉をくぐって、玄関前へ。この松は樹齢50年ほどになり、親子2代に渡って管理しているとのこと。ちなみに「門かぶりの松」とは、門の上に水平に枝が伸びた松のことです。松は神が宿る神聖な樹木とされ、「神を祀る」の「祀る(まつる)」の語源ともいわれています。常緑で冬になっても枯れない縁起のよい樹木とされ、お正月では門松などの飾りとしても親しまれていますね。 門扉の内側から伸びる松の足元には和風のミニ庭園が設えられ、洋風なアプローチとともに和洋折衷のスタイルが楽しめます。 そして、住宅のエントランス扉の脇に、ホワイトカラーのシンプルな手すり付きの階段がありました。ここが、リフォームされたバルコニーガーデンへの入り口です。 壁面と好対照な真っ白な階段が、ルーフバルコニーへの入り口。 ナチュラルからシンプルモダンへイメージ一新! Before:リフォーム前はウッドデッキのナチュラルなガーデン。 After:柿の木の絶妙なフォルムが生きるホワイトガーデン。グレーの床に要素を絞った植物使いがモダンな印象。 ホワイトカラーの階段を上がり、門扉を開けると、目の前に広がるのは、ホワイトの塀に囲まれたシンプルなリゾート風ガーデン! 真っ白な塀に床は明るいグレーの人工芝、白を基調とするガーデンに、樹木の描く影がくっきりと落ち、モダンでアーティスティックな風景に。トラベルガイドのパンフレットに出てきそうな印象的な演出ですね。大きな柿の木は、リフォーム前からの既存樹木を切らずに生かしたものです。 リフォーム以前のナチュラルなウッドデッキの庭から、シンプルモダンなルーフバルコニーへと見事な変貌を遂げました。 パーゴラとベンチで爽やかなリゾートイメージ Before:ウッドデッキとベンチのスペースが…… After:パーゴラとベンチがあるホワイトベースの空間へ! Before:フェンス際のプランターは…… After:花壇の上にタイルを張ってシンプルなベンチに。 写真のスペースは、リフォーム以前は、ウッドデッキの床に段差を設け、腰掛けられるベンチとして利用していた場所。また、フェンス手前には植栽マスがあり、ヤシやアガベなどの植物が植えられていました。 リフォーム後には、ホワイトのパーゴラが爽やかな空間へと生まれ変わりました。床には60cm角の大きめのタイルを張り、高級感を演出。元あった植栽マスの上には周囲よりもやや濃色のタイルを張り、ベンチにリフォームしています。ベンチと床のタイル目地を揃えているところが、キレイに見えるポイントですね。 パーゴラには小さな明かりを灯す豆球を取り付けています。パーゴラと豆球が床に規則正しく落とす影までもガーデンのデザインに組み込み、一層魅力的な空間になっています。 パーゴラの豆球の影が作る模様も、リズミカルで軽やかなデザインの一部。 シンプルなアイテムでオシャレに ホワイトの板塀に浮かぶアイテムたち。 シルバー色のマリンライト。 シンプルな水栓。 愛犬のリード掛け。 注目したいのは、ホワイトベースの板塀に、いくつかのアイテムを施しているところ。塀上部には、最近は特に人気のあるマリンライト。真鍮色が一般的ですが、ここではよりクリーンなシルバーを採用しています。水洗の蛇口もレトロでシンプルなもの。もう1つは、一見取っ手のようですが、これは愛犬のリードをかけるためのフックです。ゆとりをもって板塀全体を使うデザインがオシャレ! これらのアイテムの色彩は、すべてシルバーで統一しているところがポイント。ホワイトベースのモノトーンな板塀が生きる、シンプルモダンの必殺技です。 雑草が生えにくいよう防草シートの上に人工芝を敷いて。 また、ルーフバルコニーのシンボルツリーである柿の木の足元も、淡いグレーの人工芝で、徹底的にシンプルさにこだわっています。この人工芝の下には防草シートが敷かれていて、雑草が生えにくくなっています。こんな一工夫でも庭のお手入れの手間を減らすことができますよ。 タイルテラスで気をつけること 掃き出し窓の敷居には…… 敷居と平行にグレーチングが。 ルーフバルコニーと住宅は、掃き出し窓でシームレスにつながっています。この掃き出し窓の敷居に注目。よく見ると、敷居に沿ってオシャレなグレーチング(金属製の格子蓋)がついていました。住宅基礎の上には床下換気口がついていますが、グレーチングがないとテラスの下地のコンクリートで換気口が埋まってしまいますよね。グレーチングを設置して空気の通り道をつくれば、換気口の通風ができるようになり、また室内のリビングとタイルテラスを段差なくフラットに結ぶことができます。 まとめ 最近は、住宅と共に、庭をリフォームする事例も増えてきています。今回は、経年変化で古くなったウッドデッキから、ホワイトベースのシンプルなタイルテラスに変身した実例をご紹介しました。ナチュラルなウッドで構成されたデザインから、全く印象の異なるホワイトベースのタイルテラスやウォールにすることで、生活も心機一転するきっかけになります。 このように、住まう方の年齢や趣味などでライフスタイルが変化するように、または時代の流行によっても、庭のデザインは大きく変わっていきます。 皆さんも庭にも目を向け、変化のある心地よいライフスタイルをデザインしてみてはいかがでしょうか? 気持ちも新しくなり、楽しく明るい人生が送れることでしょう! 設計施工:ヘブンズガーデン 柿崎浩司
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