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【住宅事例】大好評シンプルモダンシリーズ第4弾 住宅とエクステリアを徹底的に解説!
直線が生きる住宅とエクステリアデザイン モノトーンで構成された玄関まわりは、徹底した直線が映えるデザイン。 今回ご紹介するのは、神奈川県藤沢市の閑静な一画にある住宅です。 すべての要素が直線で構築されたアプローチは、ミニマルでモダンな佇まい。外壁の素材は、木調とも石調ともつかないテクスチャーで構成されています。これにフィットするエクステリアが、マットな質感のシンプルなブラック門袖。門袖とは玄関の前に設置する壁のことで、玄関回りのデザイン性を高め、玄関ドアを開けたときの目隠しにもなります。 左わきのアプローチ階段の目地にも注目しましょう! 30cm角のブラックタイルに、リズミカルなホワイト目地のコントラストがオシャレですね。ポイントは、階段の段差がタイルの半分の15cmなので、半分ずつずれてきれいに割付けされていること。階段の手すりはブラックのフラットバーで、その薄さがシンプルかつスタイリッシュな印象を強調しています。 階段横の壁際に設置してあるコロンと四角いキュービックなポストは控えめなグレーで、周囲になじんで主張することなく、ブラックな門まわりに視線が集まるデザインです。 ゴールド×ブラックのシックな表札。 表札は横文字筆記体のゴールド。黒の背景に対し色のある金文字が目を引きますが、文字の大きさは小ぶりで控えめなところが絶妙なバランスです。 全体をシンプルモダンに統一し、小物もシンプルでオシャレに! 無駄のないデザインのコンクリート製サイクルスタンド。 道路際から2m程度の幅を持たせた、ホワイトの土間コンクリートのアプローチスペース。ここには、コンクリート製のスリットが入っているブロックが設置してありました。これはじつは「サイクルスタンド」。スリット部分に自転車のタイヤをはめて駐輪します。無駄のない外観で、とてもオシャレですね! こうした細かい箇所にもシンプルデザインへのこだわりを感じます。 シンプルモダンで統一された住宅。 道路から見た住宅の全景。まるで立方体のブロックのような、直線を多用したデザインがカッコよく、存在感を放ちます。敷地を縁取る土間コンクリートのホワイトのライン、また住宅のグレーとカーポート屋根のナチュラルシルバーとの対比もステキです。 奥に向かう通路の先にはタイルテラスとガーデンが サイクルポートを通って庭に向かう通路。 60cm角のタイルを張ったタイルテラス。 カーポートを通って、奥へ進んでいくと、広いテラスに到着します。テラスは、60cm角のグレーのタイル張り。シンプルながらも、タイルの色ムラやテクスチャーに、洗練されたゴージャスな雰囲気が漂います。 立水栓のグレーチング(格子蓋)には、シルバーが輝くパンチングメタルを使用。 テラスの壁際に設置された立水栓。シルバーの蛇口とブラックポールを組み合わせた引き締まったデザインで、クールな印象を与えます。立水栓の足元にある水を流すグレーチングは、パンチングメタルが使用されています。パンチングメタルとは、アルミ、鉄、ステンレスなどの金属に、金型を使って孔開け加工を施したもの。もともとは建築材料で、階段の目隠しやフェンスなどに使われて、孔の形状や大きさも大小さまざまな種類から選ぶことができます。ステンレス製であれば水にもさびにくく、実用性もばっちり。耐久性やデザインの自由度が高く、スタイリッシュな穴あきのパンチングメタルをグレーチングに使うのはアイデアですね。 平滑なタイルテラスは、ホームパーティーなどで床面が汚れても、立水栓からホースを使って水を流せば、簡単に掃除できます。日差しによる経年劣化が少ないことも利点です。 フェンスで囲まれた小さな庭の植栽と剪定のコツ 人工芝と高めの目隠しフェンスに囲まれた小さな庭。 タイルテラスの向こうは植栽スペース。周囲を囲む高さ1.8mほどの木調横板張りフェンスが、隣家からの目隠しになっています。芝生の緑が鮮やかですが、じつはここは、見栄えがよくメンテナンスが楽な人工芝を取り入れたガーデンです。 敷地のコーナー部分にはシマトネリコ、その隣にはオリーブが植栽されています。シマトネリコは常緑樹ですが、落葉樹のように小ぶりの葉を持つ、樹形がきれいな庭木。成長が早い植物なので、真夏以外ならいつでも剪定ができますが、寒さに弱いので、冬の剪定は避けたほうがよいでしょう。冬が終わった後の3月終わりから5月ぐらいの時期が最適です。 オリーブは、シンボルツリーとして最近はとても人気のある常緑樹です。樹形をきれいにするために、伸びた枝を途中で切り揃える「切り戻し剪定」をするのがおすすめです。切り戻し剪定をする際は、外向きに生えている芽のすぐ上で切るようにしましょう。こうすることで、枝が真上ではなく斜め横方向に伸び、樹形が整っていきます。メインの剪定に適した時期は2月中旬から3月です。5月から10月頃までは成長期なので、この時期の強い剪定は控えましょう。葉を減らすなどの軽い切り戻し剪定は一年中行うことができますが、切りすぎると樹形が乱れてきれいに見えなくなるので注意が必要です。 素材のテクスチャーを生かすのがシンプルモダンのカギ アプローチ階段&手すりと門袖の統一感がいい。 住宅の外壁が木調、石調などのテクスチャーを持つ場合や、モノトーンの濃淡が多い場合は、エクステリアの素材はシンプルにすることが大切です。この住宅の例のように、門袖や階段はブラック単色でスッキリと。階段のタイルのホワイト目地などでグラフィカルな変化を出すことで、センスが光る住宅デザインが生まれます。 また、敷地の床面はホワイトの土間コンクリート、アプローチに植栽されたシンボルツリーの足元にはブラックの少し大きめの砕石を敷くなど、単調さの中に変化を出す工夫も満載。土間コンクリートを分割してレイアウトしているところにも、さりげないスマートさを感じさせますね。 まとめ シンボルツリーの足元にはブラックの砕石を配置。 モノトーンを主体とするシンプルモダンな住宅で、センスのよいデザインを作るポイントは、広い面積を占める素材の選び方や割付けの具合です。シンプルモダンは単調になりがちですが、この実例のように細かな部分まで配慮して設計することで、シンプルながらも絶妙な変化に富んだデザインが構成できます。 近年人気のモノトーンのコーディネートに興味をお持ちの皆さんは、ぜひ細部にわたって自分流の素材選びや割付けにこだわったデザインを研究してみましょう!! 設計施工:ヘブンズガーデン 柿崎浩司
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【住宅実例】大好評シンプルモダンシリーズ第3弾! モノトーンカラーの使い方で高級感を演出
モノトーンのコントラストを生かしたシンプルモダンな外観 どっしりとした印象のファサード。門扉の前の床面は、グレーの色調の違いを生かしてモノトーンながらリズミカルに。 今回ご紹介する住宅は、人気の観光地である神奈川県の江ノ島から、車で15分ほどという好立地にあります。 外壁はシンプルな四角いホワイトタイル調のサイディング。2階バルコニーの手すりには採光性が高い半透明の型ガラスとグレイッシュなアルミサッシを採用。家の外観とコーディネートし、玄関前には絶妙な色ムラのある濃いグレーの石張りの塀を設け、アプローチの床のタイルにもグレーから白色のタイルをリズミカルに敷き詰めてあります。住宅全体を見たときに、重心の低い位置に濃いグレーの塀があること、そして外壁のタイル調サイディングよりも大きな石が張られていることで、どっしりと安定した雰囲気になり、高級感も生まれます。 玄関アプローチはゆったりと 塀と門柱の間には、細長い角材を並べた通気性のよい柵を設置。 住宅の顔にあたる門まわりを詳しく見ていきましょう。 石張りの塀の奥に同色の門柱を設置することで、門扉前にスペースが生まれ、奥行きが際立ちますね。特に、塀よりも門柱を高くしているのがアクセントに。塀と門柱の隙間には、人が通れないように目立たない柵を設置し、防犯機能を持たせながらも風が抜けるようデザインされています。 門扉から玄関扉へのアプローチ。 濃色のフラットバーの手すりと花壇のレンガタイルがおしゃれ。 玄関前のエントランスポーチ脇には、黒っぽいレンガの花壇を設置し、可愛らしいフェイジョアを植栽。ポーチに設置されたフラットバーの手すりと花壇の濃色のカラーを合わせ、エントランスをすっきりとまとめています。 フェイジョアは南米原産の熱帯果樹。意外に寒さに強く、-10℃前後でも枯れないため、比較的育てやすい植物です。常緑なので、一年を通してシルバーがかった明るい葉姿が楽しめるのも魅力です。ちなみに、私もフェイジョアの実を食べた経験がありますが、別名パイナップルグァバと呼ばれるとおり、バナナとパイナップルを足して2で割ったような香りと味がします。収穫後少し時間が経つと酸っぱくなってしまいますので、収穫してすぐ食べられる自家栽培にぴったりの果樹ですね。 カーポートもモノトーンでまとめてシンプルモダンに シンプルなカーゲートとカーポート。 門柱の隣には、跳ね上げ式のカーゲートがあり、その奥は薄いアルミルーフのカーポートになっています。圧迫感を感じさせないシンプルで軽やかなルーフと、水平ラインを強調した黒いカーゲートのコントラストが素敵ですね。 ブラック×シルバーのコントラストが際立つ物置。 カーポートの支柱はブロックに組み込み、スペースを無駄なく使っています。 カーポートの奥に設置された引き違い戸の物置には、アルミのシルバーに黒い扉が引き立つカラーをチョイス。土間コンクリートのカーポートスペース全体がモノトーンになり、統一感があります。また、カーポートの黒い支柱の足元を、敷地端のブロックの立ち上がりに組み込んでいるというつくりも面白いですね。通常であれば、カーポートの幅が合わずに設置をあきらめてしまうところですが、このように組み込むことで整頓され、非常にきれいに収まっている点も見事です。 すっきりしたデザインのウリン材のウッドデッキ 芝生の庭を進むと現れるウッドデッキ。地面の高さとの差が小さいため、手すりが設置されていません。 エントランスから奥へ進むと、建物の周囲を囲むように芝生の庭が広がります。じつはこの芝生は人工芝なのですが、一見して人工芝と分からないほど自然な色合い。最近は、緑一色ではなくワラ色を混色したものなど、自然に見えるよう工夫された高品質な人工芝がたくさんあります。 建物横の芝生の庭はゆるい斜面になっていて、奥には室内と庭を結ぶウッドデッキが設置されています。庭が斜面になっている理由は、ウッドデッキと芝生の段差を低くするため。手すりのないウッドデッキは、シンプルで広々とした見た目はもとより、段差が小さいので安心して使えます。ウッドデッキには耐久性の高いウリン材を使用しているので、ローメンテナンスな点も嬉しいですね。 ウッドデッキに作られたフタを開けると洗い場が。 ウッドデッキ脇の住宅壁面には、水栓が設置されています。ここに水場があれば、植栽の水やりやウッドデッキのお掃除が簡単にできて便利ですね。そして、水栓の下に設けられた、格子状のフタに注目! このフタを開けると、なんとウッドデッキの中に洗い場が現れます。排水マスと兼ねた洗い場は、使わないときは格子のフタをしておけば、見た目もスッキリ。先ほどのカーポートの支柱同様、納まりがよく気持ちのよいデザインで、とっても素敵ですね。 横板張りの樹脂フェンス 周囲と庭を隔てるフェンスの前につくられた花壇。 芝生の庭の外周は横板張りのフェンスで囲まれ、外回りからのほどよい目隠しになっています。木製のフェンスに見えますが、これは樹脂フェンスという、高発泡ウレタンの表面にABS樹脂をコーティングしたもの。高発泡ウレタンとは、ウレタン樹脂を発泡させて作る、非常に小さな泡の中に熱伝導率の低いガスが閉じ込められたウレタンフォームのことで、断熱性や気密性に優れる素材です。この高発泡ウレタンを使った樹脂フェンスは、木板のようなイメージが演出でき、色数もブラックのほか、ブラウンの濃淡、ホワイト、グレーなど11色(2024年現在)の多彩なカラーから選ぶことができるため、近年人気上昇中です。 フェンスの足元には、黒いタイルを縁石にした花壇が。植栽が成長すれば、フェンスを優しく隠してよりナチュラルな印象になることでしょう。また、この花壇は少し斜めに傾けて設計されています。庭全体が柔らかいイメージになるよう、細かいところまで配慮が行き届いたデザインです。 道路に面した植栽。グレーの大きめの石で地面をカバーし、モノトーンカラーの住宅との統一感も抜群。 道路からこの住宅を眺めると、玄関前の塀と樹脂フェンスの境目には花壇があり、樹木の足元にハーブのローズマリーが植栽されています。細い縦格子のフェンスを背景にした植栽は、歩行者からの景観をよくするだけでなく、目隠しとしての役割も果たします。風通しや見栄えもよく、ナチュラルな外観のアクセントとして素敵ですね。 素材とカラーコーディネートのポイント:ホワイトとブラックの比率を同じにしないこと! 正面以外から見た景観も、すっきりときれいにまとまっています。 シンプルモダンの基本は、モノトーンカラーとしてホワイトとブラックのコントラストを明確にすることですが、それぞれの面積の比率を同じにしないことでバランスが取れますよ。また、こちらの住宅のように、上部を明るく、下部を暗くすることで、住宅全体を見たときに安定感が生まれ、高級感も演出できます。 サッシやフレームなどのパーツもデザインのポイント。ブラックにすると引き締まったイメージ、グレーにすると和らいだソフトなイメージになります。また細いフレームであれば、濃い色でも薄い色でも繊細なイメージになりますが、太いフレームは濃い色にすると、時に野暮ったいイメージになることもあるので、よく検討してみましょう。 まとめ シンプルモダンといっても、塀、門柱、フェンス、カーポートなど、ただモノトーンのコントラストでまとめただけでは、見栄えのよい素敵なエクステリアにはなりません。カラーコーディネートの基本は広い面積は明るく、狭い面積は暗くすること。それに加えて、タイルや石のサイズやテクスチャーの違いも重要なポイントです。一概には言えませんが、小さいサイズは上部に、大きいサイズは下部に用い、広い面のテクスチャーは単色のベタでなく微妙に色ムラがあるほうが、高級感が出しやすいでしょう。 素材選びの際は、カタログやネット検索の画像を見て、テクスチャーやカラーの検討をするのもよいのですが、エクステリアメーカーの展示場に出向き、実際にいろいろな素材を見て触って研究してみるのもおすすめです。いろいろな発見があり楽しくなりますよ。 シンプルモダンのエクステリアデザインに興味を持たれた読者の皆さん! ぜひ、参考にしてくださいね。 設計施工:ヘブンズガーデン 柿崎浩司
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【住宅実例】大好評シンプルモダンシリーズ第2弾! モノトーンカラーがシャープな住宅をご紹介
住宅とエクステリアで描くモノトーンのコントラスト 家の印象を決めるエクステリアとガーデンにはさまざまなスタイルがありますが、最近人気なのが、シンプルモダンなスタイル。今回ご紹介するこちらの住宅も、シンプルモダンの好例です。 住宅のベースとなるカラーは、少しブラウンが混じったチャコールグレーと、温かみのあるベージュ。色数を抑えたモノトーンな色合わせですが、モノトーンとはいっても、ただ単純な白黒カラーではありません。モノトーンには、テレビのカラーバランスの調節のように、温かみ(ウォーム)のあるものやニュートラル(中立)、そして涼しい(クール)イメージのカラーなど、じつはバリエーションがあるのです。この住宅の色彩を構成するのは、温かみのあるブラウンと深みのある濃いグレーが混色された外壁と、白色に近い柔らかなベージュ色で統一された門柱やアプローチです。 また、外壁に使われている横向きに細長いボーダータイルに合わせ、ウッドフェンスも横板張りにすることで、水平ラインによる統一感も演出しています。ウッドフェンスは耐久性に優れたウリン材を使用。高密度で、塗装をしなくても腐らず長持ちするため、時が経っても自然な経年変化を味わうことができ、ナチュラルな風合いを楽しませてくれます。このウッドフェンスにより、エントランスドアが開いていても下方の半分は目隠しされ、エントランスの土間が見えないところもポイントです。 アプローチ階段を上るとオシャレなデザインウォールが 白色に近いベージュをベースカラーに採用したデザインウォールと門柱。 30cm角のタイルが張られたアプロ―チ階段を上がると、ブラックの馬目地タイルを囲んだデザインウォールが現れます。馬目地とはタイルやレンガの積み方の一種で、垂直方向のタイルの列を半分ずつずらしたように、互い違いに重ねる積み方のこと。周囲がホワイトに近いベージュやアイボリーの色彩の中、注意を引き付けるフォーカルポイントになっており、視線をエントランス方向に誘導する効果があります。デザインウォールのベージュは、門柱と同色。同じようにベージュの中にブラックのポストが浮かびあがる門柱との対比も素敵です。 アプローチ階段の手すりや支柱はブラックのフラットバーで、全体の印象を引き締め、シャープなイメージを作っています。 シンボルツリーはニオイシュロラン(コルディリネ)で 寒さに強いニオイシュロラン。 植栽で海に近い南国イメージを演出。 デザインウォールの隣には、エントランスへと誘うシンボルツリーのニオイシュロランが植栽されています。ニオイシュロランの足元には、えんじ色やキャラメル色のヒューケラ、ドライガーデンに似合う細長い葉の植物などが植えられ、輝くような白い玉砂利が下草の植栽を引き立てます。湘南海岸から2キロも離れていないという立地条件にふさわしい、南国イメージが伝わる植栽ですね。 ニオイシュロランは別名コルディリネ・オーストラリスとも呼ばれ、ニュージーランドを原産とする常緑樹です。南国風の印象ですが、意外と寒さに強く、雪が積もらない地域であれば地植えができます。日当たりがよい場所、または明るい日陰を好みます。ニオイシュロランはドラセナと間違われるケースもよくありますが、ドラセナはアジアやアフリカなどの熱帯地方に分布する常緑樹で、別種。50種類ほどが知られるドラセナは、観葉植物としてなじみ深く、「幸福の木」ともいわれています。 ウッドフェンスの向こう側にウッドデッキのお庭が ウッドデッキでは縁側のようにくつろぐこともできる。 ウッドフェンスの奥にはウッドデッキの庭が。フェンスがある道路側はウッドデッキを広く取り、住宅沿いは縁側のように腰掛けて使うこともできるよう工夫されています。 地植えの庭の植栽の管理が大変な方は、このようにウッドデッキを広く取って地面のスペースを調節すると、管理がしやすくなります。また、ガーデンセンターなどで鉢植えの植物を購入し、ウッドデッキやフェンス際に置いて庭を飾るのも一つの方法。鉢植えは土が乾燥したままでは植物が枯れてしまうので、水やりが必須ですが、移動ができるのが大きな長所です。気温の変化や植物が好む環境に応じて室内に取り込んだり庭に出したりすれば、寒さに弱い植物なども枯らさずに育てられます。 鉢植えの水やりのコツは、毎日少しずつ水をあげるのではなく、一度にたっぷりと水をあげ、土が乾燥したら、またたっぷりと水やりをすること。根腐れを防いで元気に育てることができますよ。また、株元の地面だけでなく、時々は葉にも水をかけるとよいでしょう。葉の汚れやハダニの対策になるだけでなく、気孔をきれいにして蒸散しやすくすると、庭に涼しい空気をつくることができます。興味のある方は植物の蒸散作用で調べてみてくださいね。 まとめ シンプルモダンのカラーコーディネートのポイントは、べースカラーを決めるときに、モノトーンでもウォーム(温かみ)、ニュートラル(中立)、クール(涼し気)の、どのカラーにするのかを決めること。これらのカラーにはホワイトの色味が重要で、どのホワイトを選ぶかによって全体のイメージが変わってきます。こうして選んだカラーで全体をコーディネートして統一感を演出し、シンプルモダンのイメージに品格を出すことができますよ。 また、モノトーンのコントラスト(明暗)は、狭い面積部分には濃い色を配することで全体が引き締まります。配色に加え、窓枠や階段の手すりなどの形状にこだわることで、品や見栄えのよいおしゃれなデザインに。また、シャープでシンプルなデザインのシンプルモダンな住宅には、たとえ少しであっても植栽スペースを設けることで、固さを和らげ、うるおいを感じるアプローチになります。 読者の皆さんも参考にされてはいかがでしょうか? 設計施工:ヘブンズガーデン 柿崎浩司
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【シックな焼杉の家】細部までこだわりが光る美しい住宅と庭園を拝見!
落ち着きを演出する雑木の庭 今回ご紹介する住宅は、神奈川県鎌倉市の住宅街の角地にあります。杉の板を黒く焼いた焼杉の板張りが日差しに輝き、その黒を背景に、切妻(きりづま)屋根の破風板(はふいた)と、四目垣(よつめがき)が引き立ちます。切妻とは、家の中心の頂点から左右に傾斜した屋根がつく、日本ではもっとも一般的な屋根形状のこと。その屋根の端を覆う板材を破風板と呼びます。道路沿いに設けられた細長い植栽部には、株立ちの高木を中心に中低木を並べ、さらに足元をカバーする下草を取り入れて、奥行きが狭くても落ち着きのある雑木の庭を見事に表現しています。 外壁は黒一色の焼杉で 焼杉の板が目を引く外壁。 この住宅の特徴は、なんといっても外壁の焼杉板張りでしょう。庭の設計・施工は造園会社が行ったものですが、じつはこの住宅の設計は、建築家である施主様ご自身によるもの。焼杉と白木のコントラストが和モダンの印象を感じさせるカラーコーディネートに、施主様のセンスのよさがうかがえます。 焼杉は、日本では昔から伝統建物で使用されてきた素材です。文字通り、杉の板を焼いたものですが、酸化することで耐久性が高くなり、焼けていない内部を保護します。焼き方次第で50年はメンテナンスフリーとされる丈夫な素材ですが、できるだけ軒を深くして雨水が外壁に当たらないようにするなど、配慮をすることでより長く美しく保つことができます。ちなみに、焼杉は直接触ると多少手が黒くはなることもあるのでご注意を。 シックな黒の焼杉板と、軒天や垂木など屋根の裏側部分の木材とのコントラストがモダン。 雑木の庭のシンボルツリーと掃き出し窓。 庭のシンボルツリーである株立ちの高木の背後には、リビング・ダイニングと庭とをつなぐ、縦格子が小粋な掃き出し窓があります。この住宅は、ちょうど掃き出し窓の部分がへの字に折れ曲がる形状になっているため、縦格子の入った窓が、それぞれ左右にスライドするというつくり。黒の焼杉板の中に、明るい木調の建具が引き立ちます。出入りしやすいよう掃き出し窓の前に置かれた不整形の石板の沓脱石と、その左右に並ぶ大きめの砕石が、和の趣を一層感じさせます。 縦格子の掃き出し窓の前に据えられた沓脱ぎ石と砕石。 玄関へのアプローチ階段も石板で。 道路と玄関ポーチを結ぶのは、大きな石板を使った階段。ポーチ周囲の傾斜を下草で覆うことで、高低差による断絶を和らげ、自然に家と外界がつながるデザインです。 エジソン電球が照らすエントランスホール 小石を浮き立たせた洗い出しの床がモダンな玄関。 シンプルな木製の玄関ドアを開けると、土壁に囲まれたコンクリートの土間が迎えてくれます。床がコンクリート製なので、子どもの遊具も気兼ねなく収納できます。 落ち着きのある輝きを見せるエジソン電球。(画像提供:施主様) 真上を見上げても美しい!(画像提供:施主様) 天井を見上げると、素敵なペンダント照明のエジソン電球が目に入ります。エジソン電球はフィラメント電球とも呼ばれ、透明ガラスの電球の中にフィラメントが光って見えるものです。裸電球という名前でご記憶の方もいるかもしれません。今ではアンティーク電球やビンテージ電球などとも呼ばれ、人気の高い照明です。こちらの玄関は、以前はエジソン電球風のLEDライトでしたが、明るいもののピンク色っぽくやや不自然だったため、本物のエジソン電球に変更されたそう。「フィラメントのほうが、火に近い明るさで落ち着いた感じがします」と施主様。 室内も土壁に梁と柱が映える和風建築 ナチュラルモダンでシンプルな美しいリビング。 リビング・ダイニング・キッチンをつなげた広々とした室内は、ベージュ色の土壁に木製の梁と柱で構成された、すっきりと居心地のよい空間です。リビングは、先にご紹介した縦格子の掃き出し窓を通じて庭とつながり、室内からも庭景色を楽しむことができます。縦格子の大きな窓はデザインとしても美しく、外の風景を取り込んで部屋を明るくしてくれる一方で、窓の前に植えたシンボルツリーなどの植栽が目隠しとなり、外からの視線は遮ることができます。 掃き出し窓からの庭景色。 ヘデラや苔玉のハンギングがおしゃれ。 壁際の梁には苔玉やガラス器に活けたヘデラが吊り下げられ、みずみずしいインテリアに。ヘデラはもともと石積みの土留めの植栽などエクステリアに人気の植物でしたが、今ではインテリアグリーンとしても飾られるようになりましたね。 庭に続く開放感が抜群! 庭とリビングをつなぐ建具は全開口が可能なので、遮るものなく庭を眺められ、リビングが一層明るく広々とした空間に。フローリングの床も庭景色に自然になじみ、落ち着きのある印象です。 ダイニングキッチンの天井には木箱のプロジェクターが リビングから見たダイニングキッチン。 シンクとガスコンロ以外はすべて木製で仕上げた統一感のあるキッチン。 キッチンの天板や吊戸棚など、シンクとガスコンロ以外はすべて木製で仕上げられています。ダイニングテーブルも、もちろん木製。使うごとにきれいに手入れしていれば、経年変化でビンテージな風合いになるのも楽しみなダイニングキッチンですね。 ダイニングの天井を見上げると、直方体の木箱が吊り下がっていることに気が付きます。よく見ると、丸い穴の中にカメラのレンズが。なんと、木箱の中にプロジェクターが仕込んであるのです。 天井から吊り下がる木箱の中はプロジェクター。 じつは、このプロジェクターからリビングの土壁に、映画やビデオを大スクリーンに映し、家族みんなで楽しんでいるのです。リビングの壁には、こんな仕掛けもあったのですね! 土壁の縦横比率は、映画鑑賞に最適になるようテレビ画面に合わせたサイズにしてあるという設計者のこだわりも。家族みんなで楽しむホームシアターに変身するリビングなんて素敵ですね。 リビングの土壁はシアターに変身!(画像提供:施主様) 薪ストーブで冬も暖かく (画像提供:施主様) リビングとダイニングの間には、薪ストーブがあります。薪ストーブは部屋を暖めるのはもちろん、寒い夜にパチパチと薪が爆ぜ、揺らめく炎を見つめていると、精神的にもリラックスし、なんともいえない癒やしの気持ちに。また、一部がすのこ状になった天井から薪ストーブの温もりが2階に伝わって、家全体が暖かくなります。 土壁をベースに、木製のフローリング、建具、柱、梁と、自然素材で構成されたインテリアは、安らぎと潤いを感じさせる住み心地のよい空間でした。 ずっと見つめていても飽きのこない炎。(画像提供:施主様) まとめ 道路沿いの細長い庭も、植栽の高さのバランスをとることで、奥行き感がある雑木の庭に。玄関ポーチへ続く石板の階段の両側には下草を植え、道路と敷地の高低差を柔らかく緩和しています。シックな黒の焼杉板と明るい木材の柱や垂木、縦格子のコントラストで、和モダンなイメージを出すのも素敵ですね。 室内へ足を踏み入れれば、梁や柱を見せたデザインに、温かみのある土壁とフローリングが、飽きのこない落ち着きのある空間を演出しています。明るく開放的な室内は、細部まで細やかなこだわりが詰まった居心地のよい場所。冬場は薪ストーブの上に煮物の鍋やティーポットを置けば、美味しい料理やティータイムの、癒やしのひとときを過ごせます。 皆さんも、自然に親しむ新感覚のヒューマンライフを参考にしてみてはいかがでしょうか。 建築設計:一級建築士事務所 アトリエ ユイム吉能雅人庭園設計:長濱香代子庭園設計株式会社 長濱香代子
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2024/08/21 東京都 Rise Exterior 有限会社富士美建
2024/08/08 宮城県 株式会社グリーン開発
2024/08/07 千葉県 株式会社Cuddle Design (カドルデザイン)
2024/06/27 愛媛県 株式会社府利(クラトシ)
2024/06/24 山形県 株式会社大久保硝子店
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2024/08/07 新しく1件追加登録しました
2024/06/25 リフォームローン特別金利キャンペーン期間延長
2024/06/04 新しく1件追加登録しました
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2024/04/09 新しく1件追加登録しました