ガーデンに役立つ情報が満載!ガーデン植物講座

シェード・プランツ(半日蔭・日蔭の植物たち)

1. シェードガーデンについて

ギボウシやヒュイケラは 人気のシェード・プランツ(英国 ベスチャトガーデン)
ギボウシやヒュイケラは人気のシェード・プランツ
(英国 ベスチャトガーデン)

半日蔭、日蔭の庭のことをシェードガーデンといいます。私たちのくらし環境には半日蔭や日蔭の空間が多く存在します。特に玄関前が北側であったり、南側であってもビルなどで直射日光が遮られている場所ではシェードプランツが有効になります。

欧米のガーデンセンターにおいてもアオキ、ヤツデ、ナンテン、シャクナゲ、アセビなどの陰樹と一緒にシェードペレニアル(半日陰、日陰の宿根草)の売り場が定番化され販売されているほど人気が高い植物たちといっても過言ではありません。自然の森には、日当たりのよい場所よりも半日蔭や日蔭の場所の方が多く存在します。

このような場所を林床(りんしょう)と呼び、非常にたくさんの植物たちが共生しています。このような場所に生息する植物たちの特性を活かしながら演出すると、諦めていた日当たりの悪い場所でもガーデン演出が可能になります。

シェードガーデンの人気の高さは、そういう場所がただ単にくらしの中に多いというだけではなく、
「落ち着き」「安らぎ」「癒し」といった効果が、日向の庭よりも高いからといえるでしょう。
ちょうど、森の中で森林浴をしているような空間になるからです。もともと日本の坪庭には、落ち着いた情緒があります。

逆に日向を好む植物たちは、明るく「感動」や「元気」「躍動」を感じます。
また、シェードプランツには日本原産の植物たちが非常に多い事も興味深いことといえます。
欧米のプロのガーデナーたちと話をすると、ほとんどの方々が日本への憧れを持っていることに気づきます。
植物大国と呼ばれる日本の気候と環境が、美しい水と森に恵まれている証拠といえます。

シェードガーデンにも四季があります。
日なたのガーデンよりも季節的に少し遅れて、6月〜7月にかけて、花のピークを迎えます。
ツバキ、ヒイラギ、ヤマブキ、ホタルブクロなど落ち着いたシェードガーデンにも季節を感じる植物の選択は必要不可欠です。

特に初夏から秋にかけての暑さの厳しい季節、シェードガーデンは涼しさを感じさせてくれるので、意識しておきましょう。

2. シェードガーデンの演出

花や葉は明るいほうに向かって展開する。(兵庫県 三田市住宅)
花や葉は明るいほうに向かって展開する。
(兵庫県 三田市住宅)

シェードガーデンを演出すると、どうしても和風と思われがちですが、洋風の庭やベランダにもマッチします。植物の世界には洋風、和風はなく、演出の違いにあるといえるからです。

シェードガーデンを演出するときの注意点は、まず光の方向です。植物は明るい方向に向かって葉や花を展開するものが多くあります。光の方向を変えるためには植栽の後ろにパーテーションを立てるか、前の植物よりも大きな木を植えたりします。ガーデン設計の段階で植物がどの方向を向くかを事前によく検討しておくことが必要です。

本来、植物から見た半日蔭の基準は、落葉広葉樹の株元の明るさをいいます。落葉樹なので、冬季は直射日光があたります。半日蔭の植物は、ある程度その植物のもつ適応力によって変化します。つまり自然の森で同じ種類の植物でも、葉や草丈の大きさや形が異なっているのによく出会うことからもわかります。

図面の上で、植物の配置を考えるときの植える植物のボリュームや数量に関わるので、普段から半日蔭のシーンをよく観察しておくことです。プランニングの際に、イメージを頭の中で映像として映し出すことができれば、自然に植物の選択もできてきます。

最後に都市部や住宅の狭い場所では、現地調査の際に風通しを確認しておきましょう。どうしても湿度が高くなりがちになります。水はけの悪い場所では、必ず暗渠をもうけて、加湿にならないようにすることが大切です。


藤岡 成介(ふじおか せいすけ)
1963年兵庫県生まれ。ガーデニングによる花と緑があふれるまちづくりを提唱し指導している。園芸肥料メーカー勤務を通し本格的に植物との関わりを持つ。90年に独立。ガーデニングコンサルタント会社・環境文化センターを設立し、現在に至る。家庭菜園を始める・続けるためのベストガイド『菜園生活パーフェクトブック』の監修・著。
監修:藤岡 成介(ふじおか せいすけ)