2. 特殊空間緑化での植栽のポイント
金網を活かした植栽ベース
(浜名湖花博展示会場)
特殊空間植栽において最も重要なことは、土壌とメンテナンス管理の計画にあります。地面での植栽と異なり、限られた土壌量で健全な状態を長く保つ必要があります。
植栽における土壌の基準−1つ目は園芸的に植物を生育させていくことを目的とした土壌です。花を咲かせ、実も多くつけるために粘土質に有機物を混合し、保水性、排水性、保肥性、通気性など物の生育に必要な条件を満たす考え方です。
成長させていくことを目的としているので、限られた器の中では早く大きくなり、根づまりも起こってきます。そして当然、植え替えなどのメンテナンスが多く生じてきます。
植栽における土壌の基準−2つ目は、近年屋上緑化などに応用されているパーライトや珪藻土、セラミック等の無機質の軽量土壌を植栽基盤にする考え方です。
有機質と肥料分は、きわめて少なくします。
一般にこのような土壌で植物を育てると弱ってしまい、欠乏症などの症状になると思われがちですが、
幼苗の段階から馴らしていくと、微量の栄養分にもかかわらず植物は健全に育成していきます。
但し、1つ目の土壌下の状態より、盆栽のようにコンパクトになってきます。
成長のスピードがかなり抑制されることになり、剪定や施肥メンテナンスにも大きくかかわってきます。
早く大きく成長させることが目的ではなく、健全状態をできるだけ長く継続させていく事が目的となります。
従って、テラスガーデンのエリアで、ベースとなる樹木の前に、季節の花を演出したい場合は
それぞれ異なるコンテナに土壌もかえて植栽することが望ましいでしょう。
よくある失敗に、大きなコンテナの中心に樹木を植え、その株元に花を植える場合です。
花の管理で、肥料も与えるため樹木も大きく、早く生長してしまい、短期間で根づまりを起こしてしまう例です。
2重鉢などの工夫をしましょう。
自然の山でゆっくりと健全に生きている植物たちから学ぶべき事は、多くあります。
毎日水やりをすると、毎日欲しがるようになります。
いわゆる過保護状態になっていくのと同じです。
自然の状態や環境をいかに人工的に造りあげていくかが、今後の大きなテーマといえます。
1963年兵庫県生まれ。ガーデニングによる花と緑があふれるまちづくりを提唱し指導している。園芸肥料メーカー勤務を通し本格的に植物との関わりを持つ。90年に独立。ガーデニングコンサルタント会社・環境文化センターを設立し、現在に至る。家庭菜園を始める・続けるためのベストガイド『菜園生活パーフェクトブック』の監修・著。