欧州最大のDIYリフォーム市場を誇るドイツ。家庭回帰志向から消費者のガーデンライフに対する意識が高まっている。しかし、従来の提案や、既成商品の組み合わせでは飽き足らないDIYer。より快適でスタイリッシュなガーデンライフを求めるそうしたニーズに応えようと、ドイツ最大のホームセンターのobiは、卓越したマーケティングを展開する。

リフォームとメンテナンスに燃えるドイツ市場

　2009年の1年間、欧州で最もリフォームとメンテナンスにお金を使ったのはドイツ人である。GfKの調査によれば、ドイツ人のメンテナンス（X軸）消費は最大、リフォーム（Y軸）はフランス、ベルギーに次ぐものの、消費ボリュームは最も大きい。（表1参照）

　その旺盛なドイツのリモデリング市場を支えているのはobi、プラクティカー、バウハウスのホームセンター3社。中でもマーケットリーダーのobiは、ドイツ人のライフスタイルを豊かにする新たなエクステリアライフ・ガーデン・リフォームと巧みなマーケティングで、他社を圧倒する極めてアグレッシブなビジネスを展開している。

スタイリッシュ、快適、エコなリフォームが大人気

　このところobiのエクステリアライフ・ガーデン・リフォーム提案は洗練度を増している。理由は、ガーデン部門を旺盛な域外出店戦略の要にすると共に、停滞しがちな国内売上高を拡大するためである。

　例えば、「庭で過ごす休日」をテーマに、従来にはなかった快適でスタイリッシュ、インテリア性の高いエクステリア・リビングルームを提案し、ホーミング（帰家性）志向を高めている消費者を捉えた。

　エクステリアライフ・ガーデン・リモデルを支えるため、新たに投入した商品群も極めて市場競争力が高い。写真.1のように、モダンな庭との一体性が感じられる洗練された家具、スタイリッシュな木製の物置、庭のフォーカルポイントにもなる美しく実用的なコンテナ兼用の雨水タンク（写真.2）、LEDを内蔵し、オブジェとしても存在感を放つ噴水や照明など、エコとデザイン性、機能性を両立させた商品であることが特徴。質実剛健なドイツ人でさえ、そこに新たな価値と魅力を見い出せるようなコレクションの充実で、リフォーム意欲を高めることに成功した。

　さらにobiは、ガーデンセンターの花苗・用品と照明・インテリア売り場を隣接させた画期的な新しいゾーニングを導入（写真.3）。その目的は、「リビング空間の延長線上にガーデンがある」というコンセプトで、エクステリアライフ・ガーデンのリフォーム需要を喚起するという思惑がある。

　加えてobiは店舗とネットの双方でライフガーデン・トレンドを発信するとともに、新たな価値あるライフスタイル提案を行っている。無論、DIYやリモデリングに不可欠なノウハウやアドバイス提供も実施。必要な人にはファイナンス面の援助も惜しまない。

　このように景気が低迷する市況の中で順調に業績を伸ばすには、消費者のライフスタイルのわずかな変化をいち早く捉え、その暮らしを快適にするトレンド発信でビジネスにつなげることが重要。小さなニーズの変化は大きなビジネス・チャンスを生むのである。