豊かな自然に恵まれたニュージーランドの国民性はおおらかに暮らしを楽しむのが特徴。気取らない暮らし方に合わせ、リフォーム、ガーデニングやバーベキュー、人との交流を楽しむ。そんな暮らしぶりを捉え、環境対応、コスト、顧客満足度という3つのバランスを考慮したセレクト・リフォーム体制で18％のマーケットシェアを確保しているのが、プレースメーカーである。

建設業者・リモデラー・DIYerの頼れる拠点

プレースメーカーは、フレッチャー・ビルディング・グループのトレーディング部門である。

ニュージーランド最強の建材製造業者とディストリビューターとしての顔を持つフレッチャーの製造・物流の基盤力を背景に64店舗を展開する。特長は、店舗の76％を占める充実したトレード、ドライブスルー・ヤードを持つこと。（写真.1）

ドライブスルー・ヤードはビルダーやリモデラーが建築資材やエクステリア製品を直接ピックアップする業者専用スペースになっている。

一方、DIYer向けの小売ショールームは、専用の入り口があり、フレーム、トラスなどの構造材、ランドスケープ、デコレイティング、塗料、キッチン&バス用品、工具、ファスナー等の品揃えと共にリフォームのデザイン・サービスを提供する。

売れ筋の商品ラインは、プロ向けがフレーム、トラスなどの構造材、DIYer向けは塗料、キッチンキャビネット、電動工具、ファスナー、園芸用品である。

同社のモットーは「ノウハウがあれば自分でリフォームすることができる」である。そのため、DIYリフォームの中核を担う25万人の顧客に低価格割引商品を提供する一方で、個別のアドバイス機能を強化。充実したインフォメーション機能とコストを抑えるという価格面のバックアップでDIYerのロイヤルティ作りを図っている。

1つの店舗でDIYとプロ業者という2タイプの顧客のリモデリングに対応する頼れる拠点がプレースメーカーなのである。

リモデラーの信用を支える
ジョイント・ベンチャー・プログラム

1991年、プレースメーカーはジョイント・ベンチャー・プログラムと呼ぶ自社を起点とした革新的なリモデルのフランチャイズ・システムを立ち上げ、成功を収めている。

これは同社が各地域のリモデラーと契約し、フレッチャー・ビルディングからの資材調達、プレースメーカーによるリフォームの環境対策、人材のスキル管理ノウハウやファイナンスの提供で、共にWinWinの関係を築き、経営の永続を図るものである。

写真2のかまぼこ型のリビングは2008年にプレースメーカーとフランチャイズ契約を結んだスミス＆サンズの施工事例。浜辺に面したガレージを、休日を楽しむ家族のスペースにリフォームしたものである。

ガレージは土台と構造部を残して解体し、海の景色を楽しむことができるように母屋から2階建てのガレージハウスにガラス張り通路。写真.3でつないでいる。間取りは1階が車庫とランドリー&フリーザー室、2階は広々としたリビングルームに小さな簡易台所と2ベッドルーム、収納で、家族がゆったりと長期のバカンスを楽しむことができる。

工夫した点は三つ。一つは天井とフローリングにFSC（森林管理協議会）の森林認証を受けたニュージーランドのカエデ合板を使用し、環境にも住む人にも配慮したエコ・リモデルを実践したこと。二つ目は構造上の特徴を生かし、アーチ状のかまぼこ型天井をデザインの柱に据えたこと。三つ目は改装した木材の色調を既存の母屋の杉材とマッチさせ、美観を美しく整えた点にある。

超高級なリフォームではないが、「ライフスタイルに合ったスペースを無理のない価格で手に入れたい」とする顧客ニーズを見事に具現化したセレクト・リフォームである。

経営者のスミス氏は、「我々はジョイント・ベンチャーでオーナーの要望にパーフェクトに応え、それ以上に価値のある、ワクワクするリノベーションをすることができる。我々はその信用に応えるために生きている」と公言してはばからない。

このようにリフォームは、オーナーの要望に応えることが最低基準の出発点。その上のリモデルを目指すには、「プラスアルファのデザイン性」「独自性」「環境に良い」「トレンド」など、暮らす家族が心地良く感動を覚えるような、セレクトしたより細やかな提案力と施工技術が求められる。

多面的なアドバイザリー機能を持つ優れたパートナーとのコラボレーションと熱い職人魂が信用を高めるポイントなのである。