カナダのロナは建築資材の物流・小売リモデル等で総計360億カナダドルを売上げ、17.5%の市場シェアを持つリーディング企業グループである。
そこで今稿では、広範囲のリモデルに対応するロナ・リノベーター、ロナ・ホームセンターをはじめ、同グループのボタニック・ガーテーンセンターのリノベーション動向から、日本の住宅にも採用すべき最新のトレンドを紹介する。
アウトドア・リビングを楽しむデザイン、
インテリア、カラースキームを重視した改装
現在、カナダでは建物に新たな付加価値づくりをするリノベーションが盛んである。リノベーションは一般的に大規模な設備更新や間取り変更などを伴うことが多い。
カナダ人にとって庭は、今や住まいの一部であり、室内と外を結ぶシームレスでクリエイティブな空間になっている。
ランドスケープ・リノベーションのポイントの1つは、室内からわずか数歩で訪れることができる「心を静め、落ち着けるオアシスづくり」。そのため、現在、木や石などの自然素材を使った“Zen Decor”はとてもポピュラーなトレンド(写真1)となった。また、エコ生活の高まりから、水の流れや音を楽しむ噴水や単一カラーのフラワーベット、フレグラント・フラワーによる香りの庭づくりが人気である。
さらに、ランドスケープ・デザインの特徴は、パティオを完全に外のリビングルームに設えていること(写真2参照)。ペイビングはナチュラル・ハンドクラフトがトレンド。フローリングとして一般化しているウッドタイルやラグは防水性、UVカット、メンテナンスが容易な素材の人気が高い。
庭でのライフスタイルを楽しむアウトドア・キッチンは、ハイテク機能を搭載したより機能性本位で便利なバーベキュー・グリル、ミニ冷蔵庫の施工が主流。
植栽は、メンテナンスの手間がかかる芝のスペースをなくす一方で木、花、石と水のスペースが生み出され、フルーツや野菜、ハーブをミックスした欲張りな花壇を配置するエピクロス(快楽的)・ガーデンの人気が高まっている。
またロハス指向から有機園芸、自然のコンポスト、ハーブや野菜を植栽したグリーン・ルーフもトレンドである。
さらにインテリア・デザインをアウトドアに移行する傾向が強まった。ランドスケープにピラー(支柱)、スマートなラインのアームチェア、構造物にアーチやシンメトリー・デザインを導入。室内と同様にインテリア・スタイル、カラースキームが重視されている。
ガゼボも従来のように日よけ、雨よけのスペースとしてではなく、オールシーズンを屋外で楽しむプライベート空間、小さなアウトドア・リビング・スペースとしての需要が拡大。そのため、ファンやパティオ・ヒーターを取り付け、家具やアクセサリー、ファブリックでコーディネートする傾向がより強まった。
このように庭を屋根のない、より個人の嗜好に寄り添ったやすらぎのスペースにすることが、カナダの最もポピュラーなリノベーション・トレンドである。
明確なカラー・パレット、こだわり素材のチョイス、
暮らしを快適にするデザインがトレンド
ロナの室内リノベーション提案は、こじんまり、実用的にすっきりと暮らす“コンパクト・ホーム”がキーワードである。
例えばキッチンやダイニングルームは、オープン・プランが主流。冷暖房、ドアロック、照明、アラームなどはホーム・オートメーションを取り入れ、キッチンにはラップトップのコンピューター・スペースをデザインするなど、便利、安心、安全で生活を快適にする改装が好まれている。
収納は壁面、隙間、窓やベッドの下など全てのスペースを最大限に活用した改装が人気。特に清潔で散らかることのないリビングの収納計画と、狭い空間を活用した見せる収納アイデアを組み合わせたリモデルが人気を集めている。
一方、天井にラグジュアリーなしっくい素材を使用するなど、こだわり素材をチョイスする傾向や、コンテンポラリーなスタイルにアラベスク・モチーフや田園風のイメージを取り入れたり、モダン・スタイルには光を反射させるグラスやメタル素材を使ったりするなど、素材づかいや明確なカラー・パレットで一部にドラマチックなタッチを加えることも(写真3)リノベーションの主流である。
- 1.
- 禅の精神性を感じさせるシンプルなZen Decorが庭づくりのトレンド
- 2.
- 屋内から続く居住空間としてデザインされたロナのランドスケープ・デザイン
- 3.
- バーチカル・パーティションと壁のハンドペイントが美しいロナのホームシアター提案
ポイント
- 室内はオープン・スペースでコンパクトに快適に暮らすためのリフォームがトレンド
- スタイル&デザインは、最新のテクノロジーを融合させたデザインが主流。一部に顧客が好むラグジュアリー素材を取り入れることも人気
- 各部屋の収納は「散らかることのない美しいスペースづくり」がテーマ
- テラス・パティオは、家の延長部分にあるアウトサイド・リビング・エリア。インテリア・デザインをアウトドアに取り入れる提案が顧客の心を捉える
- 暖炉、ホームシアターなど目的別のスタイリッシュなスペースづくりがトレンド。素材の選択、デザインのアクセント、色遣いなどのイマジネーションが受注拡大のポイント
- 【著者プロフィール】
海外流通研究所 橋本 昌也
世界の流通、特にホームセンター、住宅産業、eコマースなどに精通するコンサルタント。
リフォーム産業新聞にて好評連載中。
タカショー リフォームガーデンクラブでは、ウッドデッキを始めとしたエクステリアの作品や加盟店のご紹介をしています。