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植栽デザインの応用と植物選択要素

植栽デザインの応用と植物選択要素

ボーダーエリアに限らず、植栽は先に述べた基本的なデザインの手法を組み合わせた応用になります。具体的には、景観的な美しさだけでなく、さまざまな条件要素が加味されてきます。

たとえば、「目隠し」が条件になれば、機能性をともないます。このように条件をプランニングの段階で整理しておくことが大切です。うまく整理するために、英語の意味と一緒に覚えておくと便利です。

1. ボーダー(border)

へり、ふち、端、境界の意味で、建物の壁やブロック塀などの前などが多い。

2. パーテーション(partition)

仕切り、分割あるいは仕切ること、間仕切りで、ボーダーよりも少し高いイメージで、フェンス(fence)の意味も含む。インテリアでよく利用される。

3. スクリーン(screen)

借景的な意味合いが強く、「目隠し(blinds)」の意味も含む。ついたて、間仕切りや網戸などの意味もある。

4. エッジ(hedge)

生け垣の直訳意、花壇の縁どりもエッジングプランツと呼ばれる。


玄関扉の前のシンメトリー植栽演出(英国 ロンドン郊外住宅地)
玄関扉の前のシンメトリー植栽演出
(英国 ロンドン郊外住宅地)
パターン化の植栽、街路樹の植栽もこの手法(兵庫県西宮市 住宅エリア) ブルーサルビアの植栽に
シロタエギクがエッジに使われる
(英国 ハンプトンコート宮)

日本の伝統的な生け垣は、敷地内と敷地外の分割の目的で植栽されてきました。しかし、ただ単に分割だけの意味だけではなき、またブロック塀のように完全に閉鎖してしまうのではなく、隙間で風や光を通したりもします。

このことは、敷地内の別の植栽にも大きな影響を及ぼす大切なことになります。

またサザンカやツバキ、ツツジなどの花木は季節を感じますし、古くは奈良街道エリアでみられたチャノキの生垣は、初夏に刈り込みをすると周囲にお茶の香りを漂わせるといった情緒、風情もあります。

比較的温暖な地域では常緑の樹木が用いられ、雪の多い寒冷地ではモミジやドウダンツツジなどの落葉樹も使われます。

それぞれのエリアの環境に応じて植物の特性をうまく活用することが望まれます。



藤岡 成介(ふじおか せいすけ)
1963年兵庫県生まれ。ガーデニングによる花と緑があふれるまちづくりを提唱し指導している。園芸肥料メーカー勤務を通し本格的に植物との関わりを持つ。90年に独立。ガーデニングコンサルタント会社・環境文化センターを設立し、現在に至る。家庭菜園を始める・続けるためのベストガイド『菜園生活パーフェクトブック』の監修・著。
監修:藤岡 成介(ふじおか せいすけ)