1. グランドカバーの種類で空間デザインが大きく変わる
グランドカバーは、ただ単に地面を植物で覆うというものではありません。一番おおきな目的は景観的要素のデザインです。その空間のなかで占める面積比率からみてもあきらかです。緑色だけでなく、カラーリーフを使うと文様や色彩イメージも変わります。
次に重要視することは、ヒートアイランドの軽減でしょう。欧米では、新しい住宅などでは敷地内に芝生等の植栽をすることは地面に「水を蓄える」という目的から法令化されているところが少なくありません。法令化されているから仕方なくするのではなく、夏場には現実的にその場所の温度を下げ、体感度合いが顕著に異なります。
またそのことはエアコンなどによる省エネにも直接かかわってきます。庭は風を感じ、季節を感じる大切な場所でもあるので、窓を閉め切らないようにするためにも大きな役割といえます。
3つ目は安全性があげられます。事故により転倒した場合コンクリートだけだと大ケガにいたることが多く、とくに子どもたちの走り回るところではできるだけグランドカバーを活用し、安全性を確保しておきたいものです。駐車場などでは、タイヤの設置面で傷まないような工夫をしてグランドカバーを多様化しましょう。前述したような緑化条例にともなう助成制度などもある地域があるので、調べておくことも必要です。
最後に、グランドカバーの種類によって環境特性が大きく異なります。さらにメンテナンスの方法、管理頻度も異なってくるのでその場所にあった植物選択が重要といえます。
失敗事例として最も多いことは、植栽基盤の問題です。地下の排水がうまくいかず、部分的に加湿状態になり美しい状態を保てなくなることです。暗渠などの工夫を事前に施すようにしましょう。
保水性を高めるには、土壌に保水性を高める素材を混合することでかなりの場合解決しますが、排水に関しては事前対処が必要なので、雨の日の後水たまりができやすい場所をチェックしておくとよいでしょう。
さらに面白いデザインが生まれる
(京都府 東福寺 一松文様)
1963年兵庫県生まれ。ガーデニングによる花と緑があふれるまちづくりを提唱し指導している。園芸肥料メーカー勤務を通し本格的に植物との関わりを持つ。90年に独立。ガーデニングコンサルタント会社・環境文化センターを設立し、現在に至る。家庭菜園を始める・続けるためのベストガイド『菜園生活パーフェクトブック』の監修・著。